だだすべる

@sukebee_japan

2018年3月 夢日記


小さな村。セピアの景色。
わたしは大人たちから嫌われていた。
だが同い年の、村で一番かわいい女の子だけはほかの誰とも変わらず、いや、むしろ、わたしには優しく接してくれていたように思う。そしてその事がまた、皆から反感を買ったのだった。

代わり映えのない毎日、つまらない村に嫌気がさしてしまったわたしは、幼なじみの女の子を置いて逃げるように旅へ出た。それが彼女の為だと信じていたのだ。わたしなんか居ない方がいい。
時が経ち、まともかは分からないが、少しは大人になった。そしてどうしても幼なじみが恋しくなってしまった。
こっそりと村へ帰ると、大好きな幼なじみは村のはずれの襤褸けた家に隔離されていた。なんの病か、目は見えず、肌は変色。雑に扱われており、皆から愛されていた幼なじみはもういなかった。

真夜中。昔から星だけは綺麗だったなあ。
わたしは、村のはずれの家に火をつける。
幼なじみの焼ける匂いを嗅いだ。
ありがとう、その嗄れた幽かな声は確かに彼女のものだったろう。
そしてその美しい火がくだらない村をも覆い、一面を輝かすのを無感情に見届けた。

 


ここ数日、親族が電話に出ない。
祖母も、祖父も、母とも連絡がつかないのだ。
痺れを切らして実家へ帰ると、
そこに居たのは母の兄、つまり叔父だけだった。
みんなはどうしたのか、と聞くと、
わからない、叔父は小さく呟いて首を傾げた。
頭の中で警報が鳴っている。
鼻をくすぐるおかしな匂い、
叔父の袖に微かな赤茶色。
また日を改めて来るね、
平静を装いそう告げたが、
わたしは死を確かに悟っていた。

 


友人の多くは、何故だか、どうしてだか、
好きな物事で成果を出している。
わたしがパーティに参加した時の事だ。
そこには知りうる限りの友人が集まっていた。
わたしはかわいい男の子を連れていたし、成果は出ずとも夢中になれる仕事を遂に見つけたので、胸を張って参加していた。
だが成功した友人にわたしが話しかけると、皆揃って嫌そうな顔をするのだ。
しまいには
いやなやつだ、
おまえのこときらいだな、
と言われてしまった。
何か悪い事をしてしまったのだろうか。
心当たりはまるでなく、ただただ困惑、そしてもうわたしは彼ら彼女らの友人ではないのだなと、目から零れる事の出来なかった涙が心臓へ流れるようで、息苦しさと、海に沈む時の浮遊感が襲った。
いつのまにかかわいい男の子はどこかへ居なくなってしまったし、どうしようもない気持ちで隅っこの椅子に行き場のない重力を預けると、見たことのない、とても美しい女の子がにこにこと話しかけてくれたのだった。
わたしは嬉しくて嬉しくて、彼女のよくわからない話をうんうんと聞いていたのだが、気付けば彼女の手には小さなナイフと私の舌が握られていた。
痛みは感じなかった。
暖かい液体がわたしを覆い尽くす。
何故だかほっとして、微笑んだものの、口角がきちんと動いたか定かではない。
みなさんさようなら。

 


間違えて乗ってしまった電車。
慌てて降りた駅はとても閉鎖されていて、
下り電車しか停まらない。
その下り電車も、
降りる事は出来るが、乗る事はできないのだ。
次の駅を探すことにしたが、
歩けども歩けどもなかなか辿り着かない。
ようやく人影を見つけそちらへ駆け寄ると、
洞窟のような空間に
差し込む虹色の光と
動かないプロペラ飛行機があった。
わたしは帰れないし、
どこへも行けないのだなあ。